コンタクトセンター
コールセンターとは?導入の効果やメリット・デメリットと判断基準を解説



コールセンターを導入しようと考えているものの、「本当に必要なのか?」「どんな効果があるのか?」と悩んでいませんか? コールセンターは、上手に運営できれば、顧客満足度をアップさせ、企業の信頼度を高めることにつながります。一方で、設置にはコストや人材確保などの課題があります。そこでこの記事では、コールセンターの役割やメリット・デメリット・導入時の判断基準について解説します。
コールセンターとは?コンタクトセンターとの違いは?

コールセンターとは?
コールセンターとは、企業が顧客からの電話に対応したり、企業側から顧客に電話をかけたりするための専門部署のことです。主に、顧客からの問い合わせ対応(インバウンド業務)や、企業が営業や販促活動として電話をかける業務(アウトバウンド業務)に分けられます。それぞれの業務については、後の項目で解説します。
コールセンターとコンタクトセンターの違い
コールセンターが電話対応を中心とするのに対し、コンタクトセンターは、電話にくわえてメールやチャット・SNS・企業のウェブサイトを通じた問い合わせなど、複数のチャネルを使った顧客対応を行っています。
このように、複数の連絡手段を統合して対応する仕組みを「オムニチャネル」と呼びます。近年では、顧客が気軽に問い合わせができるよう、オムニチャネル対応を進める企業が増えており、コンタクトセンターの重要性が高まっています。
コールセンターの運営形態は?
コールセンターには、さまざまな運営形態があります。
コールセンター専用の拠点
コールセンター業務が忙しい企業の多くが採用しているのが、専用のオフィスを設け、そこでコールセンター業務を一括して行う形式です。オペレーター同士の情報共有がスムーズに行えるため、応対品質がバラつきにくく、品質向上が期待できます。また、設備が整っているため、業務の効率も上がりやすくなります。
ただし、一か所に集中しているため、災害や通信障害が発生した際に業務がストップするリスクがあります。そのため近年では、複数の拠点を持つことでリスクを分散する企業も増えているようです。
社内コールセンター
企業のオフィス内にコールセンターを設置し、社内スタッフが対応する形式です。自社の製品やサービスについて熟知しているスタッフが対応するため、より専門的なサポートを提供しやすくなります。他部署との連携がしやすいこともメリットの一つです。一方で、社内のリソースを割く必要があるため、人件費や設備投資の負担が増える可能性もあります。
リモートのコールセンター
近年、在宅勤務やリモートワークが普及する中で、自宅でコールセンター業務を行う「リモート型」も増えています。自宅で働けるため、オペレーターの確保がしやすく、離職率の低下にもつながります。また、災害や通信障害が発生しても、複数の地域に分散しているため、業務の継続が可能です。
ただし、オペレーター同士が対面で業務をしないため、情報共有や意思疎通が難しくなることが課題です。そのため、マニュアルの整備やオンラインミーティングの活用など、適切なサポート体制が求められます。
拠点と在宅によるハイブリッド
社内コールセンターとリモートコールセンターの両方を活用するのが、「ハイブリッド型」です。たとえば、基本的な問い合わせは在宅のオペレーターが対応し、より専門的な内容は社内スタッフが担当する、といった分業が可能になります。これにより、両方のメリットを活かしつつ、柔軟な対応が取りやすい仕組みを作ることができます。
アウトソーシング・BPO
コールセンター業務の一部または全体を外部の専門企業に委託する方法(アウトソーシング・BPO)も人気です。外部委託することで、専門的なシステムや経験豊富なスタッフを活用できるので、コールセンターの応対品質や顧客満足度の向上につながります。また、自社のリソースをコア業務に集中させることができるようになるので、企業全体の業務効率も上がるかもしれません。コールセンターの立ち上げや運営にかかるコストの削減も期待できます。
ただし、外部委託先との連携を強化しないと対応品質が低下する可能性があるため、委託先の選定や運営方法には慎重になる必要があります。
コールセンターの業務内容とは?

コールセンターの仕事には、大きく分けて「インバウンド(受信)」と「アウトバウンド(発信)」の2種類があります。それぞれ役割が異なり、対応する業務内容も多岐にわたります。ここでは、その具体的な内容について見ていきましょう。
アウトバウンドコールセンター
アウトバウンドコールセンターとは、企業側から顧客に電話をかけてアプローチを行う部門を指します。以下のような業務があります。
支払督促
支払督促とは、未払いの料金に関する連絡をすることです。単に支払いを催促するだけでなく、顧客の状況をヒアリングし、必要に応じて支払い計画を提案するなど、きめ細やかな対応が必要になります。
アンケート調査
アンケート調査では、顧客満足度や商品に対する意見を集めるために顧客に電話をかけます。顧客から直接意見をヒアリングすることで、今後のサービス向上に活用できるデータが集められます。
世論調査
世論調査もアウトバウンド業務の一つです。政治や社会問題に関する意見を聞いたり、特定のテーマに対する意識調査を行ったりします。
テレアポ
テレアポは、見込み顧客に連絡を取り、商品やサービスを提案する営業活動です。単に商品を売り込むだけでなく、顧客のニーズを探りながら最適な提案を行うことが大切です。
電話営業
電話営業とは、企業が顧客に電話で営業をかけることを指します。商品やサービスの魅力を伝え、購入につながるよう誘導します。
インバウンドコールセンター
インバウンドコールセンターは、顧客からの電話に対応する部門です。以下のような業務があります。
カスタマーサポート
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに対応する窓口です。商品やサービスに関する質問に答えたり、トラブル解決のためのアドバイスを行ったりします。顧客に寄り添いながら、スムーズに問題を解決することが求められます。
問い合わせ対応
問い合わせ対応では、商品やサービスの使い方を説明したり、契約内容を確認したりする業務を行います。丁寧な対応を心掛け、顧客が安心してサービスを利用できるようサポートすることが大事です。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、機器やシステムなどのトラブル対応を担当します。パソコンやネットワーク機器・家電などの不具合に関する相談を受け、技術的なサポートをして解決策を案内するため、ある程度専門的な知識が必要な業務です。
通販受付
通販受付では、商品の注文を受けたり配送状況を確認したりといった業務を担当します。顧客に安心して買い物を楽しんでもらうために、正確でスムーズな対応が求められます。
コールセンターを設置する効果やメリットは?

企業にとって、コールセンターを設置することにはさまざまなメリットがあります。
業務から電話対応を切り離せる
コールセンターを設ければ、日常業務と電話対応を切り分けることが可能になります。現場のスタッフは自分の仕事に集中でき、電話応対は専門のオペレーターに任せることで、業務全体の効率が大きく向上するでしょう。
顧客満足度が向上する
コールセンターがあれば、顧客は何か問い合わせたいことがある時にいつでも問い合わせができるようになります。いつでも適切なサポートを受けられる環境を整えることで、顧客満足度の向上が期待できます。また、電話対応に特化したスタッフが迅速かつ的確に対応することで、顧客の不満や疑問をその場で解消でき、企業に対する信頼感を高められます。
企業・商品のファンを増やせる
質の高い対応を通じて顧客との信頼関係を築くことができれば、企業や商品への好感度が上がり、リピーターの増加にもつながります。こうした関係性を構築することで、売上向上やブランド価値の向上にもつながります。
顧客の声をマーケティングや事業戦略に活かせる
コールセンターには日々、顧客からのさまざまな意見や要望が寄せられます。これらの声を分析することで、商品やサービスの改善点を見つけたり、新たなニーズを発掘したりすることができるでしょう。
例えば、同じような問い合わせが頻発している場合は、取扱説明書の改善や新たなサポートコンテンツの追加といった対策を講じることができます。また、購入者からの評判が良い商品がわかれば、その商品の広告の露出を増やす・リピート割引を設けるといったことも可能になります。
コールセンターを設置するデメリットは?

一方で、コールセンターの設置にはいくつかの課題もあります。メリットだけでなく、デメリットについても事前に理解しておくことが大切です。
導入コストがかかる
コールセンターを立ち上げるためには、拠点の設置やシステム導入・オペレーターの採用と研修など、多くの手間と費用がかかります。そのため、コストに見合った効果を期待できるかどうかを慎重に見極める必要があります。
コスト面に関するデメリットを解消するためには、例えばコールセンターをアウトソーシングするという選択肢があります。自社で立ち上げるのに比べて、初期コストやランニングコストを大幅に抑えることができます。
オペレーターの確保と教育が必要
コールセンターでは、人材の確保と教育が重要な課題です。オペレーターの離職率が高い業界であるため、安定した人材確保が難しいこともあります。また、対応品質を均一に保つためには、継続的な研修が不可欠です。質の高い応対が企業イメージを左右するため、教育体制を整える必要があります。
人材確保と教育に関するデメリットを解消するには、外部の専門企業にコールセンター業務の一部または全体をアウトソーシングするのがおすすめです。コールセンター業務を専門に扱う企業のため、優れたスタッフがいて、人材教育にも長けています。
オムニチャネルへの対応が必要なケースも
インターネットの普及により、顧客が企業にコンタクトを取る手段は電話以外にも多様化しています。特に若い世代はメールやチャット・SNSなどの方が気軽に感じる人も多いので、問い合わせ窓口が電話だけでは不十分な場合もあります。また、広告・販売経路がたくさんある場合にも、さまざまな手段で問い合わせができるようにしておいた方が良いでしょう。
このようなケースでは、やはりオムニチャネル対応を視野に入れることが重要になります。とはいえ、オムニチャネルの導入となると、システムを変更したり新たな業務フローを用意したりする必要があります。自社だけでは対応しきれない場合は、アウトソーシングを利用するのも一つの選択肢です。
コールセンターの導入の判断基準は?

コールセンターを導入するべきかどうか、判断するにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。導入を検討する際にチェックすべき基準を見てみましょう。
設置に必要なリソース
まず確認したいのが、必要なリソースの有無です。コールセンターを設置するためには、専用のスペースや設備・システムの導入費用、そして何よりオペレーターを確保する必要があります。これらのリソースが社内にあるのか、また、新たに確保できるのかをしっかり検討しましょう。
顧客対応業務の負荷
次に、顧客対応業務の負担を見直してみてください。現在の電話対応が他の業務を圧迫していないか、従業員のストレスが増していないかを確認することが重要です。例えば、「電話の回線が常にふさがっていて対応が追いつかない」「対応ミスが増えてクレームが多発している」といった状況なのであれば、コールセンターの導入を前向きに考えるべきでしょう。
設置の目的
コールセンター導入の目的を明確にすることも大切です。「とりあえず電話対応を楽にしたい」という漠然とした理由では、せっかくの導入が無駄になる恐れがあります。顧客満足度を上げたいのか、業務効率化を図りたいのか、目的を具体的にすることで初めて、あるべきコールセンターの形も見えてくるものです。設置の目的を明確にすることがコールセンターの成功のポイントとも言えるでしょう。
コールセンターの設置が難しい場合はアウトソーシングも検討しよう!

「自社にコールセンターが必要だ」と感じても、すぐに自社でコールセンターを立ち上げるのはハードルが高い場合もあります。前述したように、コールセンターの立ち上げにはコストも時間もかかり、適切なシステムの選定やオペレーターの確保と教育が難しいからです。
そういった場合には、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。外部の専門業者に依頼すれば、導入コストを抑えつつ、ノウハウを活かした効率的な運営が可能です。人材確保やオペレーターの教育も任せられるため、手間を大幅に減らせるのが大きなメリットです。
まとめ
コールセンターは、顧客対応の質を向上させ、業務の効率化にも貢献する重要な仕組みです。上手に運営できれば、顧客満足度を高め、企業のイメージアップや成長につなげることができます。ただし、運営にはコストや人材確保などの課題もあるため、インハウス・アウトソーシング・リモートなど、最適な運営形態を選ぶことが大切です。今回の記事で紹介したポイントを参考に、自社に合ったコールセンターのあり方を検討し、より良い顧客対応を実現できるようにしましょう。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
