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コールセンターの立ち上げには何が必要?構築の手順や費用、注意点について解説
コールセンターを立ち上げるには、どんな設備やシステムを用意するのか、どのくらいの予算感で進めるのかなど、事前にしっかり計画をすることが大切です。とはいえ、何をどのように進めればいいのか、計画の立て方がわからないという方も多いでしょう。この記事では、コールセンターを効率的に構築するためのステップや注意点、必要なシステム、費用について解説します。
コールセンター構築の手順は?3つのステップを解説
1. コールセンター構築の目的を明確にする
まずは、コールセンターを立ち上げる目的を明確にしましょう。現状の課題をもとに、どんなコールセンターを作りたいか具体的にイメージします。例えば、「発信効率を高めたい」「オペレーターの待機時間を削減したい」など、目的を明確にしましょう。最初に目的を明確にしておけば、その後の設計に一貫性を持たせられるようにもなるはずです。
2. コールセンターの全体設計
目的にもとづいて、コールセンターの全体像を設計しましょう。
コールセンターのオペレーション(業務プロセス)を設計
コールセンターを運営する際にまず重要なのが、業務プロセスの設計です。コールセンターの業務形態に合わせて、プロセスを細かく考えていきましょう。通常時のオペレーションはどのように行うのか、ステップごとに綿密に設計するのはもちろん、イレギュラーが起きた時の対応方法なども決めておきましょう。
業務の管理体制を設計
業務プロセスの設計が終わったら、次にその管理方法を明確にします。業務プロセスが適切だったとしても、手順通りに実行されなければ期待する成果が得られにくいからです。コールセンターの運用後に成果が思うように出ない場合、業務プロセス自体の見直しが必要になりますが、その判断を正しく行うためにも管理体制を事前に固めておくことが大切です。
必要な機能やシステムを洗い出す
コールセンターを運用するには、さまざまツールやシステムの導入が必要となります。電話やパソコンなどはもちろん、顧客データを管理するCRMシステム、顧客とのやり取りを記録する通話録音システム、よくある問い合わせをまとめたFAQ、簡単な質問に自動で答えるチャットボットなど、目的や業務形態に合わせてリスト化しましょう。
コールセンターの運営に必要な組織を設計する
コールセンターの運営を円滑に進めるためには、組織づくりも重要です。まずは、コールセンターの規模をもとに、必要な人数を算出し、組織図を計画します。そのうえで、役割ごとにスタッフを配置しましょう。
たとえば、顧客対応を行うオペレーター、オペレーターをまとめるリーダー、そして全体を管理するマネージャーのように、それぞれの職務を明確化します。さらに、必要に応じてテクニカルサポートやクレーム処理専門チームなどの設置も検討しておくとよいでしょう。このように組織図を設計して各々の責任範囲を明確にすることで、運営がスムーズになるだけでなくスタッフも働きやすくなります。
人材育成プランを設計する
コールセンターの品質を向上させるには人材育成が欠かせません。新しく採用するスタッフ向けに、基本的な業務スキルやツールの使い方を教える研修プログラムを用意しましょう。同時に、既存スタッフには継続的なトレーニングプログラムを用意して、スキルを向上できる仕組みを整えてください。加えて、管理職をめざすスタッフ向けのリーダーシップトレーニングなども用意しておくと、コールセンター全体のレベルアップにつながります。
コールセンター構築に必要な工数と予算を設計する
必要な工数と予算を具体的に計画することも大切です。必要な期間を見積もって実現可能なスケジュールを作成するとともに、コールセンターシステムの準備にかかる予算を詳細に算出しましょう。
3. 設計に沿ってコールセンターの立ち上げを進める
コールセンターを立ち上げる際には、計画段階で決めた設計内容をもとに慎重に進めていく必要があります。コールセンターシステムの種類、業務プロセス、必要な機能とシステム、人員、予算などをもとに内製するか外注するかを決定します。 立ち上げを進める際に特に重要なのが、内製か外注かを決めるプロセスです。内製の場合は、自社だからこそ柔軟な対応ができるというメリットがありますが、コストとリソースの負担が大きいというのがデメリット。外注の場合、専門スタッフによる効率的な運営が期待できる反面、外部とどれだけ密に連携できるかがポイントとなります。
最初に設定した目的を満たせるように、しっかり吟味してどちらを選ぶかを決定しましょう。
コールセンターシステムの構築に必要な機能と費用
コールセンターシステムの構築に必要な機能
コールセンターを構築し、スムーズに運営していくためには、さまざまな機能が必要になります。ここでは、中でも必要不可欠な機能をいくつか紹介します。
・PBX
PBX(Private Branch Exchange)とは、外線と内線をつないだり内線同士の接続を制御したりするための電話交換機のことです。数多くの電話機を同時に使うコールセンターにとっては不可欠なシステムです。
・CTI
CTI(Computer Telephony Integration)は、電話システムとコンピュータをつなぐ技術のことです。この機能があれば、例えば顧客から電話があった時に相手の情報を画面に表示しながら応対できます。
・CRM
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客データを管理するシステムです。顧客の履歴や問い合わせ内容を記録できるようになるので、カスタマーサービスの品質向上に大きく貢献します。
・FAQ
FAQ(Frequently Asked Questions)は、よくある質問への回答をデータベース化したシステムです。この機能があれば、わざわざ問い合わせの電話をしなくても、オンライン上で自己解決できます。顧客満足度の向上やオペレーターの業務負担を軽減できるシステムです。
・通話録音装置
通話録音装置は、顧客との通話内容を記録するシステムです。通話内容を記録しておくことでトラブル防止になり、品質向上やスタッフの教育に役立ちます。
コールセンターシステムの立ち上げに必要な費用は?
コールセンターシステムの導入費用は、運営方式が内製か外注かによって異なります。
内製化の場合
内製の場合、設備初期費用が予算の多くを占めます。具体的には、PBXやCTIシステム・通話録音装置などの導入費用です。この設備初期費用は、小規模・中規模のコールセンターであれば20~300万円程度、大規模になると、数千万円以上になることもあります。また、オペレーターや管理者の採用とトレーニングのための費用が必要です。人件費の目安は人数によって異なり、オペレーター1人当たりの時給は1,000~2,000円が一般的なので、人数に応じた費用を算出しておきましょう。
外注(アウトソーシング)の場合
運営を専門のコールセンター企業に委託する場合、料金形態は従量制や固定料金制が一般的です。費用の目安は、従量制の場合は通話一件あたり500~1,000円程度、固定料金制の場合は月額10~30万円程度が一般的です。なお、最初に契約する際の初期費用が必要な場合もありますが、内製に比べると低コストで抑えられることが多いでしょう。
コールセンターを立ち上げる際に注意したいポイントは?
最後に、コールセンターを立ち上げる際に注意したいポイントを知っておきましょう。
コスト・工数の設計を慎重に行う
コストや必要な工数を慎重に計画することが大切です。プロジェクトの予算を把握した上で、どのくらいの規模感・どの程度の設備やシステムを備えたコールセンターが実現できるかを判断すると良いでしょう。また、コールセンターの立ち上げには多くの時間を要します。ある程度のバッファを設けて計画を立て、余裕をもって進められるようにしましょう。
顧客のニーズに合わせて、必要なチャネルを準備する
現代は、電話だけでなくチャットやメール・SNSなど、さまざまなチャネルでの対応が求められます。顧客のニーズを正確に把握したうえで、最適なチャネルを選択することが大切です。また、複数のチャネルを活用して業務を分散化させれば、オペレーターの業務負担が軽減しやすくなります。
情報の共有・連携がスムーズなシステムを考える
コールセンターを立ち上げる際には、情報の共有や連携がスムーズにできる仕組みを考えることが大切です。それぞれのシステムは優秀でも、連携がスムーズに行えないとかえって業務量が増えたり、ミスが発生してしまったりする可能性が高くなります。既存の運営体制やシステムとの連携を意識して、コールセンターシステムを準備しましょう。
外注(アウトソーシング)を有効活用する
コールセンターは、構築や運営を外注することもできる分野です。内製化はさまざまな面でハードルが高いため、必要な人員やシステムを準備できないという方は、積極的に外注の利用を検討しましょう。適切な外注先に発注することで、非常に短い期間で高品質なコールセンターを立ち上げることができます。
まとめ
コールセンターを立ち上げる際には、「そもそもなぜコールセンターを作りたいのか」という目的や、「コールセンターを作ることで何を目指したいのか」というゴールを明確化し、その上で業務プロセスの設計、システム導入、組織づくりを進めることが大切です。慎重に計画を立て、必要なリソースを確保することで、スムーズな運営が可能になります。また、必要に応じてコールセンターを外注することも検討すると良いでしょう。コールセンター立ち上げを予定されている方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。