インフラ(電気・ガス・水道)

東京ガス株式会社様/東京ガスカスタマーサポート株式会社様

VOCデータに基づいた改善アクションで 目標である「お客さまのロイヤリティ向上」と 「コストミニマム」の両立への取り組みが前進

課題・背景

  • お客さまに東京ガスに対するニーズ(申込/問合せ)が発生した際、適切なチャネルでスムーズに完了できるよう、受付体制を最適化したい
  • 受付体制を最適化することによってお客さまが満足できる価値を提供し、「ロイヤルティ向上」と「コストミニマム」を両立させたい
 

実施内容・導入の効果

  • CXワークショップでカスタマージャーニーを作成し、顧客理解・課題抽出に取り組む
  • アナリストがコールセンターの会話データを分析し、コンタクトリーズンを可視化
  • CX向上に向けた方針に合わせて、IVR分析、オムニチャネル分析を実施し、分析結果からデジタルシフト検討会(ワークショップ)を経て、改善アクションを検討・実行

 

 

概要

東京ガス株式会社様(以下、東京ガス様)は、1885年の創業以来、ガス事業を中心に展開してきたインフラの老舗企業です。2000年に電力事業へ参入し、2016年の電力小売完全自由化を機に家庭用や業務用の電力販売を開始しています。こうした事業やサービスの多様化に伴い、お客さまへの対応が不十分であるという認識を東京ガスのお客さまセンターの運営や電話受付業務の委託先である東京ガスカスタマーサポート株式会社様(以下、TGCS様)と共有。CXの観点からお客さま体験をより良いものにしようと模索する中で、VOCをどう業務改善につなげるかという課題をお持ちでした。

ご相談を受けたNTTマーケティングアクトProCXは、VOCを活用したCX向上に向けて「CXワークショップ」と「VOC分析・コンサルティング」のサービスを提供しました。東京ガスの兼子様と林様、TGCSの田坂様と礒様に、どのような取り組みを行い、それに対してどんな感想を持たれたのか伺いました。

兼子 健 様 (写真後列左から2番目)
東京ガス株式会社 CX推進部 CX推進グループ マネージャー

林 真巳子 様 (写真前列左から2番目)
東京ガス株式会社 CX推進部 CX推進グループ 企画チームリーダー

田坂 渉 様 (写真後列左)
東京ガスカスタマーサポート株式会社 お客さまセンター事業本部 千葉お客さまセンター 千葉センター企画グループ グループマネージャー

礒 汐海花 様 (写真前列左)
東京ガスカスタマーサポート株式会社 お客さまセンター事業本部 千葉お客さまセンター 千葉センター企画グループ

小島 美樹 (写真前列右から2人目)
株式会社NTTマーケティングアクトProCX CXソリューション部 VOCサポートセンタ CXチーフコンサルタント

岩松 隼矢 (写真前列右)
株式会社NTTマーケティングアクトProCX CXソリューション部 北陸センタ VOCサポートセンタ CXアナリスト

西田 亮介 (写真後列右)
株式会社NTTマーケティングアクトProCX CXソリューション部 チーフプロデューサー

尾崎 信幸 (写真後列右から2人目)
株式会社NTTマーケティングアクトProCX CXソリューション部 第一営業部 営業担当 マネージャー

※部署名・役職は取材当時(2023年3月)のものです

 

 

課題

お客さま体験を見直し、満足度を高めたいが
何から着手すべきかがわからない

兼子様、林様をはじめとするCX推進部は、さまざまなチャネルを通じたお客さまの問い合わせやご要望への対応が不十分だと感じていました。また、それらVOCを受けて、CXを向上させるために、何から着手すべきかを悩んでいました。

兼子 様

弊社は電気事業など、さまざまな新サービスを始めたことで、お客さまへの対応も従来のガス事業のみのころと比べて複雑化し、対応し切れていない面がありました。そんな中で、CXという観点からお客さま体験を見直しより良くしていこうと、2022年に私たちCX推進部という組織が立ち上がったのです。とはいえ当初は、何から着手すれば良いのかわからないという悩みがありました。

林 様

CX推進部ができて、電話とWebの受付を統合的に見るようになったものの、全体像が把握できていませんでした。全体を見ることができる部署や人がいないことが根本的な原因だったと思います。また、お客さまにもっとWebを利用してほしいという思いがあっても、何をしたら効果的かがわからない状態でもありました。

兼子 様

お客さまからのお問い合わせや要望の電話件数は、1日に1万件ほどと非常に膨大でしたが、そうしたVOCやニーズを私たちが適切に受付けし、社内の各関係部所に適切に割り振ることが不十分でしたし、VOCの内容を把握し業務改善につなげる仕分けも不十分でした。また、IVRに関しても、サービスが増加するたびに選択肢をつぎはぎ的に増やしていたので、お客さまが選びにくいものになっているという認識がありました。

林 様

そんな2022年の折り、「第25回カスタマーサポートシンポジウム」に参加したCX推進部の部長が、そこで行われていたNTTマーケティングアクトProCXの講演を聞いたそうなんです。その内容が面白く、コンサルティングなどを頼れるかもしれないと情報をくれました。

尾崎

私はシンポジウムでお会いしたCX推進部部長の熊谷様に、一度ご提案させていただきたいとご連絡をさせていただきました。実際のご提案の前に、東京ガス様に現在抱えている課題などをヒアリングさせていただいたところ、主にVOC分析の活用によるデジタルチャネルの改善に課題を持たれているとわかりました。弊社には「CX」「VOC分析」に特化したチームがいますので、東京ガス様のお力になれるのではないかと思い、その内容を中心にご提案をさせていただいた次第です。

 

 

実施内容

ワークショップでCXに欠かせない顧客理解を促進
コンタクトリーズン分析で課題の優先順位を定性・定量の両面から把握できた

東京ガス様、TGCS様、NTTマーケティングアクトProCXは、まずVOCの活用とCX向上との関連性を明確にするため、CXワークショップとコールVOCのコンタクトリーズン把握に取り組みました。

小島

2022年度は、お客さまの問い合わせ傾向をマクロ視点で定量把握するためのデータ分析から行いました。また、最初にCXワークショップを行い、「CXとは何か」というCXへの共通理解や、CX向上を進める上で一番大事な顧客理解の部分でお互いの目線合わせを実施しました。

林 様

ワークショップでは、カスタマージャーニーに沿って、どのフェーズでお客さまはどのWebページを見るのか、どのチャネルを確認するのかを想像し、そこでの良い体験・悪い体験を付箋に書いて貼っていきました。一からカスタマージャーニーをみんなで話し合い、考えるという経験はあまりなかったので、新鮮でしたね。

小島

カスタマージャーニーは定性的な観点で、どのフェーズにどのようなお客さまの課題があるかを洗い出しました。一方、東京ガス様に蓄積されているVOCデータからは、お客さまがどのような理由で電話をかけてきているのかを定量的に把握することで、課題を定性・定量の両面で見ていきました。

岩松

私はその分析を担当しました。まず通話のテキストデータ(オペレーターとお客さまの会話データをテキスト化したデータ)をテキストマイニングにより分析し、入電内容を定量的に可視化しました。さらに東京ガス様と作成したカスタマージャーニーにプロットし、どのフェーズに問い合わせが多いのかを可視化しました。

通話時間に注目して分析をすることで、通話時間が長いコンタクトリーズンは解約なのか、料金確認や故障の連絡なのかといったことを明らかにします。東京ガス様は最終的にお客さまで完結できるカスタマーセルフサービス化を進めたいということでしたので、どのコンタクトリーズンがセルフ化しやすく、どのコンタクトリーズンはお客さまの要望を聞いて丁寧に対応すべきなのかを分析し、4象限マトリクスでお見せしました。

林 様

今まで通話時間という観点で電話の分類を見たことがなかったので、どこがカスタマーセルフ化できる部分かという気付きにつながったと思います。

 

 

IVR分析や自社のホームページで実際に手続きする体験から
具体的な課題を抽出し、改善アクションの実行へ

2023年度にはIVR分析・オムニチャネル分析(全顧客接点チャネルのコンタクトリーズンの把握)を行い、各チャネルの役割やどのコンタクトリーズンをデジタルで受けるのかを検討し、課題と改善ポイントを抽出しました。

小島

オムニチャネル分析により明らかにした各チャネルのコンタクトリーズン分類結果をもとにデジタルシフト検討会も実施しました。オムニチャネル分析では、コール、FAQ、メール、チャットボット、有人チャット、Webといった全チャネルのコンタクトリーズンやボリュームを横串で把握する取り組みをさせていただきました。

デジタルシフト検討会では、どのチャネルにどの役割を持たせて、何をデジタルで受けるのかという議論を全6回にわたって行ったのですが、ものすごく盛り上がりましたね。

田坂 様

デジタルシフト検討会では、普段は見たことのないチャネル別の問い合わせ件数を比較したデータを見ることができ、新鮮に思いました。また、各回、何をするかという具体的な行動を示していただいた上で取り組めたので、やりやすかったですし、楽しかったです。

小島

ホームページなどのチャネルを皆様に実際に触っていただくことで、どの辺に使いづらさやお客さまの迷うポイントがあるのかも見ていただきました。

林 様

私たちは自社のホームページを見慣れ過ぎているので、スムーズにたどり着けるのですが、NTTマーケティングアクトProCXの皆さんに触っていただくと、想像以上に時間がかかるとわかったんです。また、表現については、例えば「引越し」という単語一つ取っても、関東圏外から東京へ引越した人が弊社のガスを契約するとき、引越しではなく新規契約だと思ったという意見をお聞きしました。多くの人にわかりやすい表現を追求していたつもりでしたが、人によって捉え方が異なるという大きな課題の一つを発見できました。

西田

私がデジタルシフト検討会で印象的だったのは、兼子様と一緒に、東京ガス様のホームページで実際に引越しの手続きをしてみたことです。兼子様は、ずっと「使いづらい!」とおっしゃっていて(笑)。他社で似たサービスを提供しているサイトでも引越し手続きをしてみて比較すると、他社のほうが使いやすいとなり、そこから改善策としてやってみましょうという話まで進んだことが思い出深いです。

兼子 様

お客さま視点でいたつもりが、自分たちのイメージしていたお客さまは画一的なものだったと気付かされましたし、先ほどの「引越し」の例のように、表現一つ取っても細かい部分で想像が足りていませんでした。それと同時に、「この導線は駄目だな」とか言い合いながら、みんなで一体となって取り組めたことがすごく良かったです。

林 様

デジタルシフト検討会では、次々に「ここは直したほうがいい」という意見が出ましたからね。改善策やアクションプランを作っていく中で、田坂さんの班ではアンケートを取ろうというアイディアも出ました。

田坂 様

私の班では、「なぜお客さまはWebフォームがあるのに電話をかけるのだろう?」という根本的な理由を突き詰められていないのではないかという話になりました。そこで、お客さまにアンケートを取って聞いてみることにしたんです。

礒 様

実際に引越しでお電話をくださったお客さまにSMSをお送りして、電話での手続きを選んだ理由をお聞きしました。その回答で最も多かったのが、「電話の方が早く手続きできると思った」という理由だったんです。

林 様

その結果を聞いて、お客さまはそう考えているのかと驚きましたね。また、デジタルシフト検討会で出たアイデアを、TGCSの中でもスピード感を持って議論・展開し、実行に移してくださったことは、とてもうれしかったです。

兼子 様

デジタルシフト検討会で出る意見には納得感があったので、早く実行したくなったのだと思います。参加していたFAQの担当者も、そこで出たアイデアを翌日には反映していました。今回のワークショップを通じて、参加者同士の一体感が生まれ、アクションし合うことで、改めて信頼関係を築けたように思います。それは予想外のうれしいおまけですね。

 

 

お客さまの声

コンタクトセンター周りに強く、実務に基づいたコンサルティングだからこその安心感がある

今回、NTTマーケティングアクトProCXと共に取り組んだ感想や、同じ悩みを持つ企業へのアドバイスを伺いました。

兼子 様

お客さまの声をどう収集して改善につなげるかを、自社だけで考えて行うのはやはり難しいものです。私たちはNTTマーケティングアクトProCXと一緒に取り組むことでデータの見方や考え方を教えてもらいましたし、関係会社グループが一体となって同じ方向を見るきっかけを与えていただきました。

私たちはCXを改善したいという熱量は高かったものの、何をどうすれば良いかわからないという状態でした。そこをうまくアクションへとつないでくださったので、本当に頼んで良かったと思っています。

林 様

とても親身になって一緒に考えてくださいましたよね。CX分野には色々なコンサルタント会社がありますが、NTTマーケティングアクトProCXは実務に基づいた実績のあるコンサルティングをしてくださるという印象があり、安心してお任せできました。自社グループにコンタクトセンターを持っていらっしゃるだけあって、本当に電話やコンタクトセンター周りのことは強いと思うので、一度、ご提案を受けてみることをお勧めしたいです。

 

 

今後に向けて

業務改善の量産化・スピード化とデータ分析の自走化を実現したい

東京ガス様、TGCS様は、VOC分析による業務改善のスピードアップとデータ分析の自走化を進めていこうとお考えです。

兼子 様

VOCを分析して業務改善する事例をさらに増やしていくことと、その速度を上げたいですね。おかげさまで1年間、NTTマーケティングアクトProCXの皆さんと取り組んだことでイメージがつかめてきたので、これから自社でどんどん進めていきたいです。

さらに今後は、オペレーターが感じている課題も吸い上げたいと考えています。現状、収集できていない情報をいかにオペレーション側に吸収するかも課題で、それによりオペレーションや業務のフローを変えることも必要でしょうし、それをもとに会社の戦略や戦術自体も変える必要が出てくるかもしれません。

小島

今後はTGCS様を中心に、東京ガス様と取り組んだようなデータ分析を行い自社内で分析を進められるよう、自走化のご支援をさせていただく予定です。

田坂 様

私たちもコールの定量的な分析まではできていないので、そういうところを伴走いただけるということで期待しています。

兼子 様

弊社も分析ツールの使いこなしを含め、社内にそれを担える人を増やしたいと思っています。ぜひ、引き続きご助言いただけるとありがたいです。それから、今回のメンバーでは色々と取り組みが盛り上がりましたが、弊社は人事異動が多いため、後任に引き継いだら熱量が薄れて停滞したという状況にならないように、時々、喝を入れに来てください (笑)。

小島

もちろんです! 引き続きよろしくお願いします。

 

 

 

お客様情報

東京ガス株式会社様

東京ガス株式会社様は、革新的なエネルギーソリューションを提供する日本を代表するエネルギー企業です。お客様の快適さと安心を追求し、地球環境に配慮した事業活動を展開されています。

東京ガスカスタマーサポート株式会社様

東京ガスグループのお客さま総合窓口を担う企業として、ガス・電力・サービスのコンタクトセンター事業、ビジネスサポート事業を効率的かつ高品質で展開していく役割を担っています。

 

 

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